ドラフトが終わって暇になったので、少し前にあったCam Robinsonの契約延長について。Franchise Tagを貼った時から予想されていた動きではありましたがその是非についてもう一度考えてみました。
結論としては、個人的にはあまりいい契約だとは思っていませんが、いい意味で期待を裏切ってほしいですね。
契約
期間 :3年(2025/UFA)
総額 :54M
保証 :33M(2022, 2023年のベースサラリー + サインボーナス)
年平均:18.0M
Base |
Signing |
Roster |
Workout |
Cap Hit |
Dead Cap |
|
---|---|---|---|---|---|---|
2022 |
2.0M |
5.0M |
0.75M |
- |
7.75M |
33.0M |
2023 |
16.0M |
5.0M |
0.75M |
0.5M |
22.25M |
26.0M |
2024 |
16.25M |
5.0M |
1.0M |
0.5M |
22.75M |
5.0M |
Pro Bowl選出により0.5M/年のインセンティブ。
総額はLT全体で13番目、保証額は12番目、年平均は6番目
高い。Franchise Tagが16.6Mだったのでそれより高くなるだろうことはわかっていたけど…
ただ、3年契約ではありますが、2024年にカットした場合5.0MのDead Capで17.75Mのキャップセーブになるため2年間で切りやすい契約ではあります。下記に少し詳しく書きますが、このままの働きであれば普通2年でカットになるはずです。ただJAXの彼への謎の信頼感から見るとそれでも契約満了まで行くのかもしれません。
スタッツ
G | GS | SNAP | SNAP% | SK | HIT | HUR | PR | PEN | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 15 | 15 | 889 | 82.5 | 3 (9-T) | 14 (51-T) | 33 (40-T) | 50 (43) | 14 (49-T) |
2018 | 2 | 2 | 119 | 11.8 | 0 | 0 | 2 | 2 | 3 |
2019 | 14 | 14 | 873 | 85.6 | 8 (48-T) | 5 (34-T) | 32 (53-T) | 45 (52) | 11 (47) |
2020 | 16 | 16 | 974 | 97.7 | 5 (40-T) | 6 (29-T) | 29 (46-T) | 40 (46) | 5 (29-T) |
2021 | 14 | 14 | 857 | 83.3 | 1 (2-T) | 8 (43-T) | 22 (27-T) | 31 (28-T) | 5 (20) |
SK:被サック HIT:QBヒット HUR:QBハリー PR:被プレッシャー PEN:ペナルティー
順位は全T中(シーズン最多スナップの50%以上プレーした選手に限る)の順位
経緯
2017年ドラフトの2巡で指名され、開幕からスターターLTとして出場。サック数こそ少なかったもののその他は平均以下でPFFの評価としても52人中50位と低評価。
翌年にはWeek 2のNE戦にてACLを断裂しシーズンエンド。
その後もとてもいいとは言えない成績を残し、迎えた2021年になぜかFranchise Tagを適用。HC、GMによれば、彼のプレーに満足している、2021年FAには有力なLTがいない、というのを理由に彼を引き止めた、とのこと。
しかし、同年ドラフト2巡でWalker Littleを指名し、それを見たファンは、
「Littleは怪我明けかつオプトアウトにより2年間プレーをしていないことが大きな懸念点となるため開幕からスターターLTとしては不安。したがって、1年はCamを残し、2022年にはLittleをスターターLTとしCamをFAへ」
と思っていたはず。
そして2021年は怪我で3試合に欠場するもその他14試合にスターターとして出場。許したサックは1、その他スタッツも例年よりやや改善。
シーズン途中から一向にLittleが試合に出ずおかしいとは思っていました。来年スターターを任せるのであればもう少し出場させてもいいはず。実際出場すればルーキーであること、ブランクがあることを考えれば十分安定していました。それでも出さないのはそういう気がないのでは、と。
そして一時はドラフト全体1位でのLT指名が有力視されていましたが、そこでFranchise Tagの2年連続使用の知らせ。もうその時点である程度現在の動きは予想されましたが、結局ドラフトではOTの指名はなくドラフト後に契約延長となりました。
よかったところとしては、ドラフトの上位をOTに使わなかったため他のポジションを強化できたこと。しかし疑問に思うことが2つあります。
本当に契約に見合うだけの実力はあるのか
そもそもCamのスタッツを見ると、被サック数は確かにリーグ上位だがそれ以外のスタッツはやはり平均かそれ以下。サックに関しても、プレッシャーを受けてから最終的にはQBがされるかどうかを決めるものであり、この数が少ないというのはつまりTrevor Lawrenceがうまく躱していた、ということだと思います。
それを見る限りはいくら昨年ややスタッツが改善したとはいえリーグで10番前後の契約には見合わないでしょう。Littleの方が数年は安く抑えられるし、その分別の選手にお金を使えるのでその方が賢明に思えます。まだ27歳と若いこと、成長していることを推しているようですが、それなら発展途上の選手に出す金額でいいはずで、この契約はどう考えてもリーグ平均より上の既に実力を証明した選手に出す金額だと思います。
昨年ドラ2のLittleはどうするのか
今年以降スターターLTとしての活躍が期待されていましたが、こうなってしまったらもう流石に怪我がない限りLTとしての出場はないでしょう。かといってドラ2をベンチに置く、トレードに出す、といった選択肢はとりたくないです。
そうすると浮上してきたのが、RTとして使う、ということ。現在JAXのRTは今年4年目で契約最終年であるJawaan Taylorが担っています。しかし彼もドラ2ながらその働きはできておらず反則も多い。その点については以前の記事でも記載した通り。
2019年に2巡で指名。ルーキー時にはAll-Rookie Teamに選出されたが、以降そこからの成長は感じられず。今シーズンは悪い意味で一番目立っていたかもしれない。とにかく反則が多すぎる。全T中反則数はトップ。ランブロックに関しても全T内でワースト10に入る。その他パスブロックに関しても許したQBプレッシャーは全T中14位タイ。唯一いいところは一切怪我をしないこと。ルーキー時代から全ての試合にスターターとして出場。 その辺りを考えると上でも書いたようにLittleがRTできるなら先発を奪われる可能性は十分あり。またLa'el Collinsのトレードの噂もあり、成立すればカットもあり得る。契約最終年でデッドキャップも0.9Mだし。とにかく崖っぷちであることは確実。
2021年レビュー(OL) - Jaguars Note
シーズン中にもRTを練習していた、との情報もあることやRTにもアップグレードが必要なことを考えれば、このRTのポジションを争う、というのが一番現実的な着地点ではないでしょうか。それである程度ものになるのであればアリだと思います。そして最悪Camの契約を2年で終了する場合にはスターターLTに再度コンバートもあり得るかもしれません。
結論
チームとCamは相思相愛という感じですが、個人的には現時点でこの契約延長が正解とは思えません。HC Pedersonは「Sky's the limit」つまり無限の可能性がある的なことを言っていますが、6年目でそんなに大幅に成長することはあるのでしょうか。
あとはここに至るプロセスに関しても、最初からこうなることを考えていたならTEのPat FreiermuthをスルーしてLittleを指名した意味も分かりませんし明確な方向性に欠けていると思います。まぁ指名したのはMeyer政権なので今年とは方針が違ったのかもしれませんが。
生え抜きを大事にしてほしいという気持ちはありますが、それならD.J. CharkやMyles Jack、少し遡ってJalen Ramsey、Yannick Ngakoueとかをもっと大事にしてほしかった。もちろん後2人に関しては本人の問題もあったので残したくても残せなかったんだと思いますが…
ということで、おそらく残念ながらPro Bowlに選出されることもなく、昨年と同様の成績に終わると思います。もちろん大躍進してインセンティブまで全部持っていってくれるのがベストですが、もし現状のパフォーマンスのままなのであれば2年で見切りをつける、ということも考慮してもらいたいです。